2017年02月24日

先日の記事にて、モバイルVRでポジショントラッキング+コントローラ操作が実現か!なーんて事を書きました。ここで言う「モバイルVR」とは、「スマートフォンを装着して楽しむ、GoogleCardboard準拠の簡易VRシステム」であると考えて頂ければと思うのですが、これまた先日公開した記事にて、コンテンツの不足・発展途上が普及の障害のひとつである、という事も書きました。
今回はそれをさらに掘り進めた感じで書いてみますよ、というお話。

 

ゲームに限らず、通常のPC操作においても、もはや誰も意識しない程に浸透しているのが「操作系」。PC操作であればマウスとキーボード、ゲームであればゲームコントローラ、スマートフォンであればタッチパネル操作。コンソールゲーム機(PS4とかXBOXとか)であれば、それぞれに対応したコントローラやリモコン。こんな感じでそれぞれに「ある程度統一された操作系」が用意されています。
それらはそれなりに歴史が古かったり、新型ゲーム機と同時に爆発的に普及したり、という点から、ゲームやソフトウェア開発者の側からしても「PlayStation4ならDualshockでの操作を、XBOXであれば専用パッドでの操作を、PCであればマウスとキーボードでの操作を」という形で限定する事で開発する事ができ、またユーザ側も「普段手に持っているコントローラの『どこに』『なんの機能が』割り当てられている」という事を覚えておけば、さほど悩むこともなくゲームを楽しむ事が出来るようになっています。
昨今のゲームは操作が複雑になっている事もあり、私はすっかりゲームで遊ばなくなってしまったのですがフィギュアヘッズおもすれー!

これはVRの世界でも同様で、まだまだ発展途上といえる業界内でも、「基準となるコントローラ」はそれなりに用意されています。例えばHTC Viveなら同梱コントローラ、PSVRであればPSMove、OculusRiftであればXBOXコントローラかOculusTouch、こんな具合。
また、それらで楽しむゲームコンテンツやツール、ソフトウェアなどは各プラットフォームごとに集められており、PCゲーム界の最大派閥とも言える「Steam」では、共同開発したHTC Viveを基準に、Oculusは同社で運営されているポータルやプラットフォームでOculus向けのソフトウェアとして、PSVRは言うまでもなくPS4向けとして、やはり操作系や動作環境を含めた最適化をした上で、コンシューマ向けとしてプレイヤーにゲームを供給しています。
VRに関するソフトウェアに限って言えば、「視野の中で手を動かす」という極めて直感的な操作が可能であり、コントローラ自体もさほど複雑ではありません。
参考までに操作系の数だけ(ジャイロセンサ系除く)で並べてみると、

・DualShock4(PS4):4方向キー、スティックポインタ(押し込みボタンあり)x2、トリガーキーx2、各種ボタンキーx9、タッチパッドx1
・XBOXONEコントローラ(XBOXONE):4方向キー、スティックポインタ(押し込みボタンあり)x2、トリガーキーx2、各種ボタンキーx9
・PSMove一本(PSVR):4方向キー(従来コントローラの○×△□共用)、スティックポインタx1、トリガーキーx1、各種ボタンキーx5 
・ Viveコントローラ片手(HTC Vive):タッチ式トラックパッド(クリックボタン付き)x1、トリガーキーx1、各種ボタンキーx3
・ OculusTouch片手(Oculus Rift):スティックポインタx1、トリガーキーx1、各種ボタンキーx3
(以上、スペックシートの見つからない部分は画像より判断しました。見落とし等による誤掲載がありましたら、コメント等でお知らせ頂けると幸いです) 

このように、従来のゲーム向けコントローラよりも、VR用コントローラは操作系が単純化されています。その分ジャイロ等による「手や腕の動きで操作する」という操作系や、視点移動によるカーソル移動などの操作が存在する為、最終的な「純粋な操作系の数」だけで言えばあまり変わらないのかもしれませんが、VRというプラットフォームのおかげで、これまで指先だけですべての操作をしていた事と比較して「より直感的に、より現実の身体の動きに近い」操作が行えるようになっています。

たとえば「眼の前に落ちているアイテムを拾い上げる」という動きにしても、従来のゲームでは「方向キーやスティックポインタでキャラクターを移動させて、決定ボタンを押して拾う」というスタイルだったものが、VRでは「腕を伸ばしてゲーム内の手を動かして、 その手がアイテムに触れた所でトリガーキーを押しながら手を引く」という動きに変わっています。
単純なゲームではあまり差が無いように思われるかもしれませんが、「北(前)の方向へ歩きながら、西(左)の方角にあるアイテムを拾いつつ、 右手で拳銃を持って攻撃動作をする」といった同時操作になると、この差は歴然としてきます。視点移動やプレイヤーの移動についても「操作のひとつ」に出来るのは、やはりVRの大きな強み。

あぁ…頭の中がピンク色な変態紳士変態の皆様向けの解説としては、
「眼の前の女の子相手に腰振り動作をしつつ、右にいる女の子の(アーン)を揉んで、左にいる女の子とキスとかする」
これが「全く同時に」出来るのです。 ゲームパッドと従来型ゲームでは、仮にそのゲームが完全3Dだったとしても、「ひとつの動作をする(始める)にはそれに対する操作をする」という動きに縛られていた為、操作に対する自由度が低下していたのです。
バーチャルな世界でくらい、好き勝手にエッチぃことしたいですよね。やることやったら即ゲーム終了して賢者モード。

長い。前置きが長い。ここから本題。
私のように年がら年中お財布がライトウェイトな皆様にとって、モバイルVRは非常にとっつきやすく楽しみやすいシステムです。なにせやろうと思えば、2000円もしないようなゴーグルだけ買えば、あとは普段使ってるスマートフォンで遊べちゃう。それも結構いい感じで。
VRってものになんとなく興味があって、でも10万プラスアルファなんて予算は組めません、という方にとっても、モバイルVRは充分にVRの威力を発揮してくれます。閲覧する、という点では。

この「閲覧するという点」なのが今回のお話なのですが、単純に動画を見る、あるいは何らかのコンテンツを楽しむ、という点においては、(少なくともAndroid環境では)かなりアプリが出ています。なんせYoutubeが公式に「全部の動画でとりあえずVR対応」という状態です。VR前提じゃない動画も、ゴーグルをつける事で「映画館で見るような」感覚で楽しめます。Youtubeではなかなかお見かけしませんが、他サイトやサービスでは成人向けのアダルトコンテンツも多数。発展途上である事は否めませんが、それなりに出てきています。
また、ゲーム(っぽい)アプリも多数出てきており、3D空間であちこち見ながら楽しめるデモコンテンツ、なんてものもたくさんあります。
これらのモバイルVR向けアプリで使われる操作系としては、「画面に出てくるボタンを『見つめる』ことで選択する」というものが多く、またある程度は理にかなった操作方法であると思います。
一般家庭向けのDVDプレイヤーなどでも、閲覧中ずーっとリモコンを握りしめているケースは非常に稀でしょう。使う時だけ視野の中に入れ(手に持っ)て、ポンポンと操作したらあとはリモコンなんて見ずに画面を見る。割とそんなもんです。

一方、本格的なゲームコンテンツなどの「インタラクティブコンテンツ(双方向型コンテンツ)」では事情が変わります。 
まず、そもそもスマートフォンはゴーグルの中に入っているので、タッチ操作は出来ません。Googleが提唱するCardboardでは、ゴーグル自体にボタンをつけて物理的にゴーグル内で画面をタッチする(伝導性フィルム等を使用)、あるいはゴーグル横にあるレバーを下げる事で画面タップと判定する(磁石とスマートフォン側磁気センサの反応を利用) といった操作系があり、2000円前後のゴーグルでも同様のシステムを採用しているものがありますが、これはあくまで「画面の一箇所をタップして操作する」という、極めて限られた操作系です。
先程出てきた「ボタンを見つめて選択」の延長線とも言える、あくまでも簡易的な操作であり、これでどのようなゲームがプレイ出来るのかは言わずもがな。
「それじゃあゲームパッド繋げばいいじゃん!」となりそうですが、現状でAndroidにおいて「デファクトスタンダード」と呼べるようなコントローラはなかなか見つかりません。つまり、アプリ開発者側も「動くかどうかわからないようなコントローラに対応させて作り込んでも、売れるかどうかわからん」となってしまうのです。
結果として、モバイルVRでは主に動画再生、3DCGで作られた(ジェットコースターみたいな)コンテンツに留まってしまっているのではないかなと。これらはすべて「受動的」であり、VRで体験すべき「仮想空間に入り込んだ」という体験がなかなか出来ない状態にあるのです。

 現状、ゲームプラットフォームとしてのスマートフォンの台頭は著しく、その殆どで「アイテム課金」といった課金スタイルが取られている為、ゲーム一本を買う「最初の値段」はゼロか、極めて安価になっています(その「アイテム課金」が別の問題を引き起こしているのはともかく)。
その為、コンソールゲーム機や、それより自由な環境であるPCゲームよりも極めて多数のゲームがスマートフォン向けとして販売、配布されており、国や開発者規模を問わず次々と新作が登場しています。また、そのクオリティも様々ではありますが、「こんなゲームがスマートフォンで出来るの!?」といった完成度を誇るものも多数。
このような状況の中、比較的最近出てきたものといえるVRに関しても、実験的なコンテンツが多く、前述の通りプレイヤー側でも比較的安価な設備投資だけで容易に楽しめる状況にあります。
だからこそ、これまた前述のような「受動的なコンテンツに縛られる」のではなく、もっと能動的な「インタラクティブコンテンツ」の為のハードウェアが欲しいと、常々願っていたものです。

 先日から大騒ぎしているNoloVRに関しても、実はPC向けとしてはRazerよりかなり形状的に近いモーションコントローラが出ていました。残念ながら瞬殺で流通が終わるくらいに需要が無かったようですが、このような技術自体は充分昔からあったのです(Wiiリモコン然り)。
特にVRで求められている「腕や頭の動きを取り込む(モーショントラッキング)」という点について、以前までは「それらを認識、演算するだけの能力がスマートフォンには無い」とされていたものが、現在では充分にその能力を持つ製品が多数登場しているのです。
(特に日本国内市場においては、「安い」と思われているスマートフォンですら、世界的には「高性能」の部類に入ります) 
前述のNoloVRについても、PCVRのみならずスマートフォンVRでのコントロールにも対応する事を既に表明しており、逆にPCVRのハードウェア(「OSVR」)を出しているRazerにとっても、「オープンソースのVR」における選択パーツのひとつとして、こうした製品を追加する事は決して不自然なことではない、と考えています。
また、Microsoftの「HoloLens」互換という形でサードパーティが参入している市場においても、「2眼(複眼)カメラで外界を捉え、また手の動きをトラッキングする」というスタイルが多く見られますが、これらはあくまで「単体、もしくはPCと接続するスタイルのVRHMD」となっており、現状で気を吐いている「Google Daydream」についても、日本市場での展開がまだ不透明であり、かつ操作系のサードパーティ参入も不明な点が多数あります。
もしもGoogleが一定ラインのコントローラを発表し、サードパーティ参入を許可する方向に流れるのであれば、こうしたVR向けコントローラは雨後の筍の如く出てくることでしょう。一方でGoogleがそれをしない(例えばAppleが対抗製品や規格を出さない等)のであれば、モバイルVRは間違いなく衰退します。

現時点、及び先3年から5年の間は、VRに深く首を突っ込むのは「アーリーアダプタ」や「アルファコンシューマ」と呼ばれる、「新規技術が好きで仕方ないエンスージアスト」が殆どを占めるものと思われます。
Oculus Riftにせよ、HTC Viveにせよ、その価格や最低動作環境を考えるだけでも「面倒だから良いや」と思われてしまっては、一般的なコンシューマの入る余地は無いも同然です。
その一方で、モバイルVRは間口が非常に広く、「なんとなく興味があるけど、どうしようかな」と言った層にも対応出来る製品が多数あります。今、手に持っているスマートフォンと2000円くらいのゴーグルを組み合わせれば体験できる、という「とりあえず安い」価格的な訴求力は、やはり何ものにも代えがたい強みでしょう。そこでVRを体験し、「これは凄い!他に何が出来るの?」となった時、「ゲームが対応しているゲームパッドだけ」となってしまっては、「それならゴーグル被る必要ないよね?」と意気消沈してしまうもの。また一方で、Samsungの「GearVR」にしても、もしもVR目当てでGalaxy新型に機種変更するとなれば、2点合わせて10万円近い出費になります。実際は機種変更の分割払いや割引はありますが、額面だけ見ればなんだか本末転倒な感じです。
Googleか、Razerか、あるいは全く別のメーカーか、どこが出すにせよ、「デファクトスタンダード」と言えるコントローラを発表、発売し、買い手がそれを受け入れることが出来る市場が形成されるか。それとも、白昼夢とともに世の中はVRという夢から目覚めてしまうのか。
NoloVRが先陣を切ったモバイルVRコントローラ市場、どうか今後も発展を続けて欲しいものです。 

(16:32)

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