2017年02月11日

気づけばもう2月ですね。NoloVRのKickstarterも開始になり、寝過ごして$89を逃して$99プランでBackerになって、相変わらずViveRiftも自宅にサプライズで送られてくる事もなく、世の中のVR動向を眺めながらどういうわけかロボットゲーのフィギュアヘッズをプレイしはじめていたりして、ここまで句点がひとつしかない頭の悪い文章を書いている私です。
さて、今回はマクロ的にVRを見つつ、今後に期待する事をつらつらと。
長いです。アホほど長いです。
 

Oculus Riftに始まったPC向けVRHMD市場ですが、その後HTCがViveを投入し、協業していたSteamでもガンガンコンテンツの供給が始まり、スマートフォンVR向けのコンテンツも徐々に出てきました。
一般的なゲームだけでなく、各企業…特にハウスメーカーなどが「VR内覧会」といった形でVRシステムを採用するなど、いわゆる「アルファコンシューマ」の方面では個人も法人も期待している部分が見えてきました。
「なんとなく新しいもの」というものではなく、ゴーグルを被って視覚的に体験出来るというインパクトの強さもあり、一度体験した人の感想では好印象が多く見られます。一方で「自分で体験しないとわからない」というある種の閉鎖性もあり、その面はスマートフォン向けVRゴーグルが雨後の筍のごとく出回って訴求しており、「SF的な近未来」がどこでも手に入るような時代になりました。
一方で、以前からの記事で述べている通り、「操作系が統一されていない」という現状における大きな課題、それを揃えようとすると大掛かりなシステム、邪魔になりがちなケーブル、そして何よりコスト面でハードルが上がっています。
ソフトウェアコンテンツ側としてもなにかと難しい部分があるようで、バーチャルデスクトップツールの「Envelop for Windows」はプロジェクトが頓挫してしまい、同ツールで実現されていた「視野内外含め、上下左右360°や奥行き方向にウィンドウを配置」といったツールも現状では出ていないようです。
また、現状で出回っているVRHMDに関しては、あくまでも「VR」であり、HMD装着状態では外界の様子が基本的に見られず、「飲み物を飲みながら楽しむ」という行為すら難しい状況にあります。

VRに関わる用語の中で、「VR(VirtualReality-仮想現実)」「AR(AugmentedReality-拡張現実)」「MR(MixedReality-複合現実)」という3つが出てきます。
これはそれぞれの用語のごとく、「VR」はその全てが仮想、つまり「自分の部屋は一切視界に入らない」もの、「AR」「自分の部屋の中に、コンピュータグラフィックスが重ね合わされる」もの、そして「MR」はVRとARの複合型で、「自分の部屋の窓の外がコンピュータグラフィックス」といった使い分けになります。実際のところはクロスオーバーしていたり、厳密な意味合いが異なる点はありますが、おおよそこのような捉え方で問題ないでしょう。
ARに関しては「ポケモンGO」で見られたような、「スマートフォンのカメラで目の前の草むらを映すと、そこにポケモンがいる」というものが代表例です。

Microsoftが発表し、既に開発者版として販売されている「HoloLens」はAR寄りのMRと言える製品で、物理的に視界を遮る事なく自分の部屋や手元が見られる状態になっており、網膜投射と言われる方式でコンピュータグラフィックスを合成しています。これは既存でコンシューマ向けに販売されているVRHMDとは極めて大きな違いを持つ製品で、「視界を塞がない」「眼前にディスプレイパネルを置かない」という視覚的に全く別のアプローチを採っています。
HoloLensでのコンピュータグラフィックス合成を使用者に見せる方式は前述の通り「網膜投射」と呼ばれるもので、使用者の瞳(網膜)に向けて映像を投射する構造です。HoloLensにはごく小さなプロジェクタと、その投射光を反射させて適切な位置から網膜に投射する光学的なパネル(HoloLensのサングラスのようなゴーグル部分)があり、更にはKinect技術から発展させたと思われる外界(現実の部屋の中)を3次元的に認識し、「現実の机の上に合成したCGのボールが転がって、机の上から落ちて床に転がる」といった複雑な合成結果を使用者に見せる事が出来るようになっています。
ついでに言えば、HoloLensはHMD単体でPCとして動作(SoCにはAtomが使用されているとも)する為に、ハイスペックなPCと接続する為のケーブルも不要である、という長所があります。

ここまでで、かなり大雑把ではありますが、AR或いはMRの紹介をしてきました。VRに関しては散々書いてきた上、非常にわかりやすいシステムである為に省略しましたが、これからが今回の本題。

私がVR機器を使用した上で最終的に求めたものは、「VRゴーグルを使用してのMR、もしくはMRゴーグルを使用しての『完全な』VR」でした。
現状出回っているVRゴーグルでは、前述の通り「外界が見えない」という閉鎖性があります。これは「没入感」と言われる非現実感の為に最重要な点ではありますが、これではエンターテイメント(ゲームや動画など) には向いていても、仕事を始めとした「実用ツール」として使用しづらいものになってしまいます。
Viveには前面下部にカメラが1基搭載されていますが、単眼カメラでは人間に対して「奥行き・立体感」を受け渡すことは出来ません。
一方でHoloLensのようなMRゴーグルでは、「視野の100%がCGコンテンツ」という使い方が出来ません。HoloLensはあくまでも「現実の風景にCGを重ね合わせる」シチュエーションで使われるゴーグルであり、こちらは「実用ツール」としての使い勝手は良くとも、エンターテイメント的な使い方には向きません(ゲームセンターで閉鎖的な部屋を用意するなどであれば可能かもしれませんが)。
これらの他、MicrosoftはHoloLensの拡張パターンとして、「VRゴーグルに2眼(複眼)のカメラを搭載し、視界を完全に覆い被せながら外界を映し出し、そこにCGを重ねる」といった規格を発表し、既に様々なメーカーから試作品が発表されています。
私の要望としては、これらが一番近いものであり、またハードウェア的には現在の技術的に最も現実的なものであると思います。
Kinectで身体の動きを読み取ったような、もしくはLeapMotionで手や指の動きを読み取ったようなシステムが内包されていれば、前述したような「コントローラが必要不可欠」という部分からも解放されます。
ハードウェア的な点では、スペックシートや(顕微鏡で見たのかと思うほど)液晶パネルの構造的品質に拘る方も見受けられますが、アルファコンシューマはともかく、一般的なコンシューマユーザが気づかない程度のものであれば、過度にスペックアップを突き詰める必要は(現時点では)ないものと思います。
(ロースペックは叩かれますが、ハイスペックは気づかれない、といった具合に)
また、閉鎖的なゴーグル形状であれば、前述の通り「100%の」VRコンテンツにも対応可能であり、通常時はMR的にPCを操作出来るゴーグルとして、ゲームを起動したら外界の映像は遮断され、ゲームの中に、飲み物を飲みたい時はゴーグルの横にでも取り付けたスイッチを押すと画面の一部分がMRに戻る、といったスタイルも可能です。
外界の3次元的認識が可能なシステムであれば、机の上に置いたマット(あるいはカップを置くコースターでも)を事前に登録しておき、視界の中に入ったらその部分だけ一定範囲でMR表示にする、という自動化も出来るでしょう。
既存環境で何かしら対応させるとしたら、「Vive(Riftでも)に薄型カメラを2つ取り付け、さらにLeapMotionを装着した状態で使う」というのが、ハードウェア的に最も実現可能な手法であると思います。

まず、以上はハードウェアに関して。ここからはソフトウェアに関してです。

既存のVRHMDでは、それぞれのハードウェアごとにプラットフォームが異なっており、「WindowsPCで動く」という以外は共通点は無いと言って良いと思います。
RiftもViveも、それぞれでソフトウェア配信ポータルを持ち、「Riftでは動くがViveでは動かない、またはその逆」という状況も発生しています。
一方でVive協業のValveは自社のゲーム配信ポータル「Steam」 にて「SteamVR」を展開し、この両者の食い違いを吸収してくれています。OpenVRにも対応し、現在Razerが主に開発を進めている「オープンソースのハードウェア」で作られたVRHMDでも利用可能です。先日出荷された国産のHMDである「FOVE」も、ちかくSteamに対応する予定との事です。
そしてHoloLensに関しては、前述したとおり「そのものがPC内蔵」である事から、必然的にWindowsベースとしてHoloLens向けにカスタムされた操作系や配信プラットフォームが用意されています。
他社向けにも公開した視野閉鎖型HMDに関しても、既存のPC向けに展開している「Windowsストア」を通じて展開するようです。
Steamが一定のレベルでまとめているという状況ではあるものの、これだけプラットフォームがバラバラでは、開発者側も「何を基準に開発を進めれば良いのかわからない」という状況に陥ります。結果として、大規模なシステムや大作ゲームのように「開発に金も時間もかかり、その回収も考えねばならない」といった開発者にとっては、どのハードウェアが「くる」のかを予測せねばならない博打状態になってしまい、結局はまだマイノリティであるVR対応を先送りにしてしまう判断になりかねません。
これは(こちらはハードウェアが主な理由ですが) コンシューマゲーム向けVRである「PlaystationVR(PSVR)」でも同様の事が言える状況であり、大作として期待されている「バイオハザード」に至っては、「1年間は他プラットフォーム(PC版やXBOX版)でVR対応はしない」という縛りが設けられているようです。この他、「ファイナルファンタジー」でも発売前にVR対応を謳っていたものの、発売後にも「対応時期は未定」となっているゲームもあります。プレイ人口の少ないVR向けにリソースを振るより、全てのプレイヤーが対象になるDLCなどにリソースを向けたほうが、直接的な利益に繋がる、という判断もあるのでしょう。

このような状況下、現状で「おそらくこれが基準になる」という部分で言えば、言わずもがなMicrosoftのHoloLens、及びその拡張規格でしょう。OSのシェアとして誰から見ても揺るぎないユーザ数を抱えており、エコシステムとしても幅広く展開をしており、見方によっては「損して得取れ」を実行出来る数少ない企業とシステムであると思います。
HTCや(最近危なっかしい)Oculusに関しても、Steamを通じてWindowsプラットフォームを利用していますが、もしMicrosoftとその規格を採用したメーカが台頭してくるようであれば、いずれWindowsストアでの展開も考えねばならない状況に陥る可能性もあります。
Microsoftはゲームパッドにおいても「XInput」としてXBOXコントローラをOS標準対応させた例もあり、前述した操作系の面における懸念もある程度対応できます。

最終的にはユーザが何を求めるか、となるのですが、かつてAppleを成功に導いた故スティーブ・ジョブズが言った「顧客は自分が何を欲しいのかわかっていない」という言葉にある通り、ユーザは「見せられないと知らないし、欲しいとも思わない」というのが現実です。
同様に、「それが使いやすいか否か」を議論する前に、「まずはユーザに見せる」のも重要なことです(キーボードで圧倒的に先行したQWERTY配列に対するDvorak配列のように)。
 これらの点において、2017年から2018年にかけては大きな動きが出て来ることでしょう。以前から使っているユーザはその違いを吟味し、多少聞いていただけのユーザは新しい操作の学習を始め、知らなかったけど使わざるを得ない状況になったユーザはそのとおりの操作を覚える。これだけのことです。

2016年は「VR元年」と言われていましたが、いつの時代もコンピュータの進化は早いものです。PCゲーマーなら必ず知っている「グラフィックボードを10万で買っても、1年後には半値程度のスペック、3年も経てば動かない設定も出てくる」という事例があるように、現時点で10万円、あるいは30万円(HoloLens)のハードウェアも、次のバージョンが出れば恐ろしくスペック的価値はさがります(PSVRは特性上、「ハードにソフトが合わせる」状況はしばらく続くでしょう)。
それでもそのハードウェアの価値をゼロにしない為に、現時点でアルファコンシューマと言えるVRHMDユーザやその開発者は「何を求め、何を提供すべきか」をマクロ的に考え、今後の動向を見ていく必要があるのだと思います。
そういった点で、私は実現可能、実用的な範囲として「VRHMDベースのMRコンテンツ、およびそのプラットフォーム」を見続けています。
私にはハードウェアもソフトウェアも、開発できる能力はありません。ただ、すでにあるものを寄せ集めて環境を構築する事はできます。それらの開発者に敬意を払いつつ、現状で可能な事、開発者が提供してくれば出来る事、どうしても技術的に不可能な事、これらを見極めて情報収集や提供、また開発者へのコンタクトなどを続けていきたいと考えています。 

(19:42)

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